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床暖房リフォームで注意点は何?選び方や費用も紹介

住宅設備

處        浩之

筆者 處 浩之

不動産キャリア23年

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自宅のリフォームを考える中で、寒い季節も足元から暖まる床暖房に興味を持つ方が増えています。しかし、床暖房を後付けする際には「どの工法がよいのか」「どれほど費用がかかるのか」など、思わぬ落とし穴も多いのが現実です。本記事では、床暖房リフォームにおける種類や工法ごとの違い、設置前に必ず確認したいポイント、そして費用や安全性まで、失敗しないための注意点を分かりやすく解説します。これから床暖房リフォームを検討される方は、ぜひ参考になさってください。

床暖房の種類とリフォーム方法の違いを知ろう

床暖房のリフォームを検討する際、まずは暖めるしくみによって大きく「電気式」と「温水式」に分かれます。電気式は、床下に電熱線やカーボンなどの発熱体を設置し、電気の通電によって発熱する方式です。比較的工事が簡単で小スペースへの導入に適しており、初期費用を抑えたい場合に向いていますが、ランニングコストはやや高めになる傾向があります 。一方、温水式は、熱源機で温めたお湯を床下のパネルや配管に循環させて暖める仕組みです。ランニングコストは比較的低く、広範囲を均一に暖められるため、長期的なコストメリットが期待できます 。

次に、施工方法についてですが、床暖房導入においては「重ね張り(上張り)」と「張り替え」の二つの工法があります。重ね張りは既存の床の上に新しい床材や床暖房シートを重ねる方法で、工事期間が短く費用も比較的抑えられますが、床の高さが上がり段差が生まれるリスクにも留意が必要です 。対して張り替え工法は、既存の床を剥がして新たに床暖房対応の床材に交換する方法で、仕上がりが滑らかで段差の心配もありませんが、工事期間や費用は重ね張りに比べて大きくなります 。

では、ご自宅に導入する際、どのような点を基準に方式を選べばよいのでしょうか。以下に目安を示した表を作成しました。

項目電気式向き温水式向き
使用頻度少ない場合多い場合
導入費用初期費用を抑えたい方長期コストを重視する方
暖房面積部分的設置に適広範囲の均一暖房に適

電気式は、例えばキッチンや脱衣所など特定の範囲を効率よく暖めたい場合に適しています 。一方、温水式は安全性や省エネ性を重視される方、広いリビングダイニングの床全体を暖めたい方におすすめです 。

設置前に確認すべき基本的な注意点


床暖房リフォームを検討する際、まず確認していただきたいのが、既存の床材が床暖房に対応しているかどうかです。たとえば、畳や熱に弱いフローリング材では、床暖房使用によって反ったり傷んだりするおそれがあります。そのため、床暖房対応の床材か否かを、メーカーの仕様書や施工実績などで必ずご確認ください。特に複合フローリングでも、対応品・非対応品がありますのでご注意ください。対応品は熱による変形に強く、長く安心して使えます。

次に、住宅のインフラ状況の確認も欠かせません。電気式床暖房では、ご自宅の電気容量が不足していると契約アンペアの見直しや電力会社との調整が必要になります。一方、温水式床暖房を導入する場合は、床下への配管や給湯設備との接続が必要で、給湯機の能力や設置場所との相性を事前に確認することが大切です。

また、住宅の構造によって注意すべき点があります。マンションにお住まいの場合は、管理規約で床暖房の設置が禁止されていたり、遮音性能が規定以下になると施工できないケースがあります。戸建ての場合は、断熱性が低いと床暖房の暖かさが逃げやすく、効率が落ちてしまいます。これらの点は、既存のルールや状況を把握しておくことが大切です。

確認項目 内容 注意ポイント
床材の対応 床暖房対応フローリング、畳かどうか 未対応床材は変形・劣化の可能性
電力・給湯設備 電気容量や給湯機の対応 電気容量不足や給湯器能力不足の可能性
構造・規約 マンションの管理規約、住宅の断熱性能 禁止規定や暖効率低下のリスク

費用とコストにまつわる注意点


床暖房のリフォームを検討される際には、「初期費用」「ランニングコスト」「リフォームのタイミングとコスト節減」の3点に注意することが重要です。

項目電気式の目安温水式の目安
初期費用(1畳あたり)5万~12万円程度8万~15万円程度(+熱源機25万~100万円)
月々のランニングコスト約2,700~8,400円約3,300~5,500円
メンテナンス費用基本的に不要不凍液交換:5万~10万円/10年に1度、熱源機交換:20万~40万円/10~15年に1度

まず初期費用について、電気式は比較的低額で導入しやすく、リフォームで1畳あたり5万~12万円が相場です(重ね張りなら5万~8万円、全面張り替えなら8万~12万円程度)。一方、温水式は同じくリフォームで8万~15万円/畳が目安で、加えて熱源機の設置に25万~100万円の費用が必要です。

次にランニングコストですが、電気式は使用条件によりますが月々約2,700~8,400円程度かかる見込みです(一例:10畳、1日8時間使用)。温水式は同じ条件下で月々約3,300~5,500円程度で、電気式よりやや安価となるケースもあります。

さらに、温水式には定期的なメンテナンス費用が必要です。不凍液の交換が10年ごとに約5万~10万円、熱源機の交換が10〜15年ごとに約20万~40万円の費用がかかります。電気式は基本的にメンテナンス不要とされています。

最後に、費用を抑えるリフォームのタイミングについてです。床暖房の導入時には、「既存の床材を交換するタイミング」や「給湯機など別設備を更新する時期」を狙うと、工事をまとめて実施できるため費用を効率化できます。たとえば、床材の張替えや給湯器更新の際に床暖房工事を同時に行えば、別々に工事を行うより施工費や手間が抑えられます。

総じて、費用の比較では、短期的には電気式が初期費用を抑えられ、長期的には温水式がランニングコストで有利な可能性があります。ライフプランや使用頻度、ご自宅の構造や将来のメンテナンスのしやすさなどを踏まえて、最適な方式とタイミングを検討するとよいでしょう。

安全性・使い勝手で押さえておきたいポイント


リフォームで床暖房を導入する際、安全性と日常の使い勝手をしっかり押さえることは、快適かつ安心な暮らしを実現するうえで欠かせません。ここでは、とくに注意していただきたい三つのポイントをご紹介します。

注意点内容対策例
低温やけど・家具の影響 床暖房の表面温度は概ね25〜30℃ですが、素肌を長時間接触させると低温やけどのリスクがあります。 素足で長時間座らない、直に寝転ばない、断熱マットなどを敷くと安心です。
段差・床の高さの変化 直貼り方式では既存の床の上に重ねるため、段差が生じやすく、つまずきやすい危険があります。 見切り材で段差を緩和する工夫や、張り替え方式を選び床高の差を抑えることをおすすめします。
断熱・窓の性能の見直し 床暖房の効果を最大化するには、住宅全体の断熱性能や窓の性能改善も合わせて検討することが重要です。 断熱シートや二重サッシの導入、窓の気密性向上など、全体の断熱計画に取り組みましょう。

...国内の住宅において床暖房は、エアコンやストーブと異なり、低温やけどのリスクが低く、安全性が高い暖房方法として評価されています。ただし、室温や素肌の状態によってはリスクが残るため、直接素肌を長時間接触させない工夫が大切です。

また、設置方法によっては段差が発生し、特にお子様や高齢者のいるご家庭ではつまずきや転倒などの危険が懸念されます。見切り材の活用や張り替え方式の採用により、段差を軽減して安全性を高めることができます。

さらに、床暖房の暖かさを効果的に活かすためには、住宅の断熱性能や窓の気密・断熱性も重要な要素です。断熱・気密に不安がある住宅では、床暖房だけで寒さ対策を完結させるのではなく、断熱性能の見直しと併せて検討することで、快適性と省エネ性を高めることができます。

このように、安全性と使い勝手を向上させるためには、素肌のさらなる保護、段差解消、そして断熱性能の強化といった“三つの視点”をしっかり押さえることが大切です。

まとめ

床暖房のリフォームは、快適な住まいを実現するための有効な手段です。しかし、種類や工法の選択から費用、安全性、そして現状の確認まで、いくつかの大切な注意点があります。電気式と温水式にはそれぞれ特長があり、ご自宅の状況に合わせて最適な方法を選択することが大切です。また、設置前に床材、インフラ、管理規約などの条件をよく調べることが安心につながります。さらに、初期費用とランニングコストの両方を把握し、将来的な負担も見据えて判断しましょう。安全性や使い勝手への配慮も忘れず、細部まで考慮したリフォーム計画を立てることで、満足度の高い住まいづくりに近づきます。

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