
外壁塗装はなぜ値上がりするのか?ナフサ不足と価格高騰の仕組みを解説

ここ数年、外壁塗装の見積もりを取ってみたら思っていたより高くて驚いたという声が増えています。
その背景には、ニュースでも耳にすることが増えたナフサ不足や、建築資材全体の価格高騰があります。
しかし、なぜナフサ不足が外壁塗装の費用にまで影響するのか、材料費や人件費とどう関係しているのかは分かりにくいものです。
この記事では、外壁塗装の価格が上がっている理由を、ナフサ不足との関係も含めてやさしく整理していきます。
これから外壁塗装を検討するうえで、見積もりの妥当性を判断しやすくなり、タイミングや予算の考え方にも役立つ内容をお伝えします。
外壁塗装の価格が急に上がっている背景

ここ数年、外壁塗装に使われる塗料やシーリング材などの建築資材は、全国的に値上がりが続いています。
塗料メーカー各社は、原材料価格の上昇を受けて塗料全般をおおむね数%〜20%程度値上げしてきたうえ、2026年に入ってからはシンナーなど一部製品で大幅な再値上げが行われています。
実際に、塗装用シンナーでは75%前後の値上げが公表され、現場の実勢価格が数倍になったという報告も出ています。
このような材料価格の上昇が積み重なった結果として、外壁塗装の見積もり額も以前より高く感じられる状況になっているのです。
外壁塗装の費用は、大きく分けると材料費、人件費、そして足場設置費や交通費などの諸経費で構成されています。
このうち材料費には、外壁用の塗料本体だけでなく、下塗り材、シンナー、シーリング材、養生用のビニールやテープなど、さまざまな資材が含まれます。
また、人件費は職人の賃金や現場管理費にあたる部分で、諸経費には廃材処分費や事務経費などが含まれます。
近年の傾向としては、塗料やシンナーなどの材料費に加え、職人不足を背景とした人件費も上昇しやすくなっており、どちらの項目も見積もり全体を押し上げる要因となっています。
外壁塗装の価格高騰は、特定の材料だけの問題ではなく、建築資材全体の値上がりの流れの中で起きている点も重要です。
国や業界団体の資料によると、生コンクリートやセメントなど主要な建築資材の価格は、2023年以降も高い水準が続いており、建設工事全般のコストが上昇しています。
さらに、原油価格やエネルギー費、物流費の高止まり、人手不足による賃金上昇など、建設業界全体で共通する要因が重なっています。
こうした広い意味での建築費高騰の波が、外壁塗装の材料費や工事費にも及んでいるため、結果として外壁塗装の見積もりも以前より高くなりやすい環境になっているのです。
| 項目 | 主な内容 | 値上がりの要因 |
|---|---|---|
| 材料費 | 塗料・シンナー・養生材 | 原材料価格高騰・ナフサ不足 |
| 人件費 | 職人賃金・現場管理費 | 人手不足・賃上げの進行 |
| 諸経費 | 足場・運搬・事務費 | 資材価格高騰・物流費増加 |
ナフサ不足とは何か?外壁塗装との関係を解説

ナフサとは、原油を精製する過程で得られる石油製品の一種で、ガソリンなどと同じ「軽い成分」に分類される中間原料です。
日本では、石油化学工業における基礎原料として、エチレンやプロピレンなど多くの化学製品の出発点になっており、国内生産に加えて海外からの輸入にも依存しています。
近年は中東情勢の悪化やホルムズ海峡の事実上の封鎖により、原油やナフサの輸送に支障が生じ、ナフサの供給量が急減し価格が急激に上昇しました。
その結果、ナフサを原料とするさまざまな製品でコスト増加や供給制限が広がり、建築分野にも影響が及んでいます。
ナフサ不足が起きている背景には、原油価格の乱高下に加えて、産油国の生産調整や地政学的リスクの高まりがあります。
特に、ナフサの輸送で重要な海峡の封鎖や航路変更により輸送コストが増大し、国内に届くまでのリードタイムも長くなりました。
また、国内の石油化学コンビナートでは、採算の悪化から設備稼働を抑える動きもあり、短期的に供給を急に増やすことが難しい状況です。
こうした要因が重なり、ナフサ価格はここ数年で大きく上振れし、建築資材の一部では2020年比で20〜40%程度の価格上昇が見られる品目も出ています。
外壁塗装とナフサの関係を理解するには、ナフサが「塗料」や「シンナー」の元になる化学原料だという点が重要です。
ナフサは熱分解などの工程を経て、塗料用樹脂や溶剤の原料となる基礎化学品に変換され、それらが組み合わさって外壁塗装で使う塗料やシンナーとして出荷されます。
つまり、ナフサの供給が細ると、下流である塗料やシンナー用の原料まで量が十分に回らず、生産量の抑制や在庫不足につながりやすくなります。
この結果として、「ナフサ不足=塗料やシンナーの不足」という形で外壁塗装の現場にも影響が波及しているのです。
| 段階 | 主な内容 | 外壁塗装への影響 |
|---|---|---|
| 上流工程 | 原油精製とナフサ供給 | 原料価格高騰・供給減 |
| 中流工程 | 樹脂や溶剤など基礎化学品 | 塗料原材料のコスト増 |
| 下流工程 | 塗料・シンナー製造と流通 | 製品値上げ・出荷制限 |
現在、塗料メーカー各社では、ナフサ価格の高騰や供給制約を受けて、塗料やシンナーの大幅な値上げや出荷調整を行っています。
例えば、建築現場でも使われるシンナー製品について、原料となるナフサの不足と高騰、さらに物流費の上昇を理由として、約70%以上の値上げを実施した事例が報じられています。
また、水性塗料であっても、樹脂成分の多くがナフサ由来であるため、間接的に10〜30%規模の価格改定が相次いでいます。
このように、ナフサを起点とした価格高騰と供給不安が、外壁塗装に必要な塗料・シンナー全般のコストを押し上げていることを押さえておくと、見積もり金額の背景を理解しやすくなります。
ナフサ不足が外壁塗装の見積もりに与える具体的な影響

現在起きているナフサ不足の影響により、溶剤系塗料やシンナーなど、ナフサ由来の資材価格が急激に上がっています。
例えば、日本ペイントではシンナー製品の価格を約75%引き上げたうえで、溶剤系塗料全般についても最大35%、水性塗料も最大30%の値上げを実施しています。
こうした原材料価格と物流費の高騰が重なり、外壁塗装工事に使われる塗料の仕入れ価格そのものが押し上げられている状況です。
その結果として、見積もり書の中でも特に材料費の項目が大きく増加しやすくなっています。
材料費だけでなく、輸送や保管にかかるコスト、人件費の上昇も同時に外壁塗装の見積もりに反映されています。
ナフサ価格の高騰に伴って燃料費や運賃が上がり、塗料や足場材などを現場へ運ぶための物流コストが増加していると報告されています。
さらに、建築資材全般の高騰や人手不足を背景に、塗装職人の人件費も上昇傾向にあります。
このように、材料費と輸送費、人件費が同時に増えているため、外壁塗装の合計金額が以前より高くなりやすいのです。
加えて、ナフサショックによる資材不足や出荷制限が続いており、外壁塗装工事の段取りにも影響が出ています。
シンナーや一部の塗料、シーリング材などで納期の長期化や品薄が生じ、製品によっては受注制限がかかっているケースも示されています。
そのため、希望する時期に工事日程を確保しにくくなったり、材料待ちによって工期が延びたりする可能性があります。
外壁塗装を検討する際には、余裕を持って相談し、見積もり段階でおおよその納期や工期の見通しを確認しておくことが重要です。
| 影響項目 | 主な原因 | 見積もりへの表れ方 |
|---|---|---|
| 材料費の増加 | ナフサ価格急騰・塗料値上げ | 塗料費・シンナー費の上昇 |
| 工事費の上昇 | 物流費高騰・人件費増加 | 輸送費・人件費の加算 |
| 工期・日程への影響 | 資材不足・出荷制限 | 着工時期の遅延・工期延長 |
価格高騰の中で外壁塗装を検討する際のポイント
現在は、原油価格の不安定さや中東情勢の影響を受けて、ナフサ由来の塗料やシンナーの価格が大きく上昇し、外壁塗装の見積もり額にも影響が出ています。
塗料メーカー各社が塗料やシンナーを10〜30%前後値上げしているとの業界情報もあり、今後も当面は高値が続くとみられています。
その一方で、外壁の劣化は待ってくれないため、先延ばしにすると補修範囲が広がり、かえって費用負担が増える可能性があります。
こうした状況を踏まえると、外壁の傷み具合を点検しつつ、必要性が高い場合には早めに検討を始めることが大切です。
見積もり書を確認する際は、まず材料費と工事費の内訳が分かりやすく記載されているかを丁寧に見ることが重要です。
特に、ナフサ不足の影響を受けやすい溶剤系塗料やシンナーの単価がどの程度上がっているか、また水性塗料など他の選択肢が提示されているかを比較すると、価格差の理由が理解しやすくなります。
あわせて、最近の値上げ分がどの項目にどのくらい反映されているのか、説明を受けて納得できるかどうかを確認しておくと安心です。
このように、金額だけでなく中身を比較することで、価格高騰の中でも納得感のある外壁塗装を選びやすくなります。
今後については、ナフサの供給状況や原油価格の動き次第で、塗料やシーリング材などの資材価格がさらに変動する可能性があります。
そのため、外壁のひび割れやチョーキングなど、劣化の進行度合いを踏まえながら、家計の負担になり過ぎない工事内容と時期を検討する視点が欠かせません。
具体的には、必要性の高い外壁や屋根を優先し、付帯部分は次回の塗装時に回すなど、段階的な計画も選択肢になります。
資材価格の先行きだけに振り回されず、自宅の状態と予算のバランスを整理したうえで、無理のない外壁塗装計画を立てることが大切です。
| 確認の観点 | 主なチェック内容 | 意識したいポイント |
|---|---|---|
| 工事タイミング | 劣化症状と緊急度 | 先延ばしによる追加負担 |
| 見積もり内容 | 材料費と工事費内訳 | 値上げ理由と単価水準 |
| 資金計画 | 予算と支払い方法 | 家計に無理のない範囲 |
まとめ

外壁塗装の価格高騰は、ナフサ不足による塗料やシンナーの値上げに加え、人件費や輸送費の上昇など、複数の要因が重なって起きています。
今後も資材価格の変動が続く可能性があるため、「いつか塗装しよう」と先延ばしにすると、結果的に総額がさらに膨らむリスクがあります。
当社では、最新の価格動向を踏まえた見積もりと、使用材料や値上げ理由をわかりやすくご説明し、ご予算に合わせた無理のない計画づくりをお手伝いしています。
ご自宅の外壁の状態や塗装時期について不安がある方は、ぜひ一度当社までお気軽にお問い合わせください。
