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塗料値上げはなぜ起きるのか?ナフサ不足の理由と外壁塗装への影響を解説

外壁塗装

處        浩之

筆者 處 浩之

不動産キャリア23年

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最近、外壁塗装の見積もり額が想像以上に高くて驚いた、という声が増えています。
その背景には、塗料値上げやシンナー・シーリング材など資材全体の価格高騰があり、その大きな要因の1つとしてナフサ不足が挙げられます。
しかし、なぜナフサという耳慣れない原料が不足すると、外壁塗装の費用まで押し上げられてしまうのでしょうか。
本記事では、ここ数カ月の価格高騰の動きと、ナフサと塗料の関係、さらに具体的な理由までをやさしく整理します。
そのうえで、今後外壁塗装を検討するときに押さえておきたい見積もりのチェックポイントや、賢いタイミング・予算の考え方も解説します。
まずは、現在起きている値上げの全体像から見ていきましょう。

外壁塗装の価格高騰と最近の動きを整理


ここ数カ月は、塗料メーカー各社が塗料本体だけでなく、シンナーやシーリング材などについても相次いで値上げを公表しています。
経済産業省資源エネルギー庁や石油天然ガス・金属鉱物資源機構などの資料では、原料となる石油化学製品の価格上昇や需給の逼迫が指摘されており、塗料製品への転嫁が進んでいる状況です。
さらに、一部の製品では出荷量の調整や納期の長期化もみられ、希望する製品を必要な時期に確保しにくいケースも増えています。
このような連鎖により、外壁塗装工事全体の原価が押し上げられているのが現状です。

外壁塗装工事の見積もり金額の内訳をみると、一般的には材料費と工事費、諸経費などから構成されています。
従来は材料費が総額の2〜3割程度を占めることが多いとされていましたが、塗料や付帯材料の値上げによって、この材料費の比率がじわじわと高まっている傾向があります。
一方で、人件費や輸送費も上昇しているため、材料費の増加分だけを単純に切り分けることは難しく、結果として見積もり総額が全体として上がるかたちになりやすい点が特徴です。
そのため、同じ建物・同じ仕様でも、数年前の見積もりと現在の見積もりでは、合計金額に明確な差が出る場合があります。

こうした価格上昇の波は、外壁塗装の分野だけでなく、建築資材全般にも広がっています。
消費者物価指数の住宅関連の項目でも、建材や住関連サービスの価格上昇が確認されており、外壁塗装に使う塗料やシーリング材も、その一部として影響を受けていると理解できます。
背景には、原油やナフサ価格の変動、エネルギーコストの上昇、物流費の増加など複数の要因が重なっていることが挙げられます。
その結果、建築やリフォームに関わるさまざまな工事で、総じて見積もり金額が上振れしやすい環境になっているのです。

項目 最近の傾向 外壁塗装への影響
塗料・溶剤 度重なる値上げ 材料費比率の上昇
シーリング材 価格上昇と品薄 工事原価の増加
建築資材全般 広範なコスト高 見積もり総額の押上げ

ナフサとは何か?外壁塗装と深く関わる理由


ナフサは、原油を精製する過程で得られる軽質の石油製品で、粗製ガソリンとも呼ばれる炭化水素の混合物です。
沸点がおおむね30〜200度の範囲にある成分が含まれ、石油化学工場での熱分解を通じてエチレンやプロピレンなどの基礎化学品に変換されます。
これらの基礎化学品から、樹脂や合成ゴム、溶剤などがつくられ、最終的に塗料やシーリング材など多様な製品へと姿を変えます。
つまり、外壁塗装に欠かせない資材の土台となる、見えない原料がナフサなのです。

外壁塗装に使われる油性塗料の多くは、樹脂と顔料、そしてナフサ由来の溶剤を組み合わせて製造されています。
この溶剤部分を薄め液として単独に取り出したものが、シンナーと呼ばれる有機溶剤で、やはりナフサを出発点としたトルエンやキシレンなどが主成分です。
さらに、シーリング材や防水材に含まれる樹脂や添加剤にも、ナフサからつくられた石油化学製品が広く使われています。
このように、塗料本体だけでなく、下地処理や仕上げに用いる多くの資材が、ナフサ由来の成分に支えられている構図です。

ナフサ価格は、原油価格の動きや国際情勢、為替水準などを受けて変動し、輸入統計にもその結果が反映されています。
輸入ナフサの単価が上昇すると、まず石油化学メーカーが負担する原料コストが増え、その後、樹脂や溶剤の価格として塗料メーカーに引き継がれます。
塗料メーカーが改定した仕切価格は、販売店や問屋の仕入れ価格に反映され、一定の時差を伴いながら工事金額の材料費部分に上乗せされていきます。
そのため、外壁塗装の見積もり金額には、ナフサ価格の変動が段階的に転嫁されていると理解しておくことが重要です。

段階 主な役割 ナフサ高騰時の影響
石油化学メーカー ナフサから基礎化学品製造 原料コスト上昇で出荷価格増
塗料メーカー 樹脂・溶剤を用いた塗料製造 製品価格改定や容量見直し
販売店・工事業者 塗料仕入れと施工提供 見積もり材料費への転嫁

塗料値上げとナフサ不足が起きている具体的な理由


現在の塗料値上げの背景には、まず中東情勢の緊迫化があります。
日本は原油と輸入ナフサの多くを中東地域に依存しており、海上輸送ルートの不安定化が続いています。
その結果、ナフサの国際価格と輸送コストが上昇し、安定的に仕入れること自体が難しくなっている状況です。
こうした外部要因が、外壁塗装で使う塗料やシンナーの値上げに直結しているのです。

一方で、統計上のナフサ供給量そのものは、代替調達の拡大などにより一定程度は確保されています。
しかし、石油化学工場の設備トラブルや採算悪化による稼働率低下が重なり、エチレンなどの基礎化学品の生産が落ち込んでいます。
加えて、特定のメーカーや商社に注文が集中した結果、在庫や輸送の「目詰まり」が起こり、川下の塗料・溶剤メーカーまで十分な量が行き渡りにくくなっています。
このように、総量は足りていても、現場レベルでは「欲しいときに届かない」不足感が強まっているのです。

さらに、今回の塗料値上げは、ナフサ価格だけでは説明できない広範なコスト上昇が重なっていることも特徴です。
原油高に伴う発電用燃料や輸送用燃料の高騰により、工場のエネルギー費やトラック輸送費が上がっています。
加えて、環境規制の強化に対応するための設備投資費用や、労務費、一斗缶などの梱包資材費も上昇しており、石油化学製品全体の「底上げされたコスト」が塗料価格に反映されています。
そのため、ナフサ市況が落ち着いても、外壁塗装に使う塗料がすぐに値下がりしにくい構造になっている点に注意が必要です。

要因区分 具体的な内容 外壁塗装への影響
供給リスク要因 中東依存と輸入ルート不安定 ナフサ調達不安と価格上昇
生産・流通要因 石油化学工場稼働低下と目詰まり 塗料・シンナーの実質的な不足
コスト構造要因 エネルギー費と環境対応コスト増 塗料価格の恒常的な高止まり

外壁塗装の依頼前にできる対策と見積もりチェックポイント


まず、外壁塗装を検討する際は、大きな値上げが予告されている時期や、繁忙期を避けて早めに相談することが大切です。
塗料価格は原材料費の影響を受けて変動するため、見積書の有効期限や価格改定予定の有無を事前に確認しておくと安心です。
また、一度に大規模な工事を行うか、必要な範囲から段階的に進めるかを比較し、家計の負担が重くなりすぎない計画を立てることも重要です。
このように、タイミングと予算の考え方を整理しておくことで、価格上昇局面でも納得感のある工事につなげやすくなります。

次に、見積書を確認するときは、塗料の種類やグレード、塗布面積、塗り回数などの条件が具体的に記載されているかを丁寧に見ていくことが欠かせません。
同じ外壁面積でも、使用する塗料の耐久性や機能、必要な下地処理の内容によって、適正な金額は変わってきます。
また、足場代や養生費、廃材処理費などの諸経費が一括でまとめられているのか、内訳が示されているのかも、妥当性を判断するうえで大事なポイントです。
全体の金額だけで比べるのではなく、こうした項目ごとの内容と単価を意識して確認することで、値上げが説明と合っているか見極めやすくなります。

さらに、今後もエネルギー価格や原材料費の変動が続く可能性があることを踏まえると、外壁塗装は一度きりではなく、長期的な維持管理の一環として考えることが重要です。
現在の塗装でどの程度の耐用年数を想定しているのかを確認し、その次の塗り替え時期や費用の目安も含めて、数年先までの資金計画を家計全体の中で整理しておくと安心です。
また、外壁と同時に劣化しやすい付帯部分の手入れも一緒に行うかどうかを検討することで、将来の工事回数を減らし、総額の負担を抑えられる場合があります。
このように、目先の価格だけでなく、住まい全体のメンテナンス計画として外壁塗装を位置づけることが、価格変動の時代を乗り切るうえで有効です。

確認すべき項目 チェックの観点 意識したい効果
見積取得の時期 値上げ前の余裕確保 予算超過の回避
塗料グレード 耐用年数と単価 長期的な費用抑制
塗布面積と諸経費 数量と単価の整合 見積金額の妥当性

まとめ

外壁塗装の価格高騰は、塗料やシンナーなどの値上げだけでなく、その背景にあるナフサ不足やエネルギー価格の上昇が重なって起きています。
見積もり金額の内訳や、塗料グレード・塗布面積・諸経費を正しく理解できれば、「本当に妥当な金額か」を落ち着いて判断できます。
今後も価格変動が続く可能性があるからこそ、早めに情報収集し、将来のメンテナンス計画や資金計画を一緒に考えることが大切です。
当社では、最新の価格動向を踏まえた丁寧な見積もりと、無理のない計画づくりをお手伝いしています。
外壁塗装の費用やタイミングで少しでも不安があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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