
空き家を相続したら税金はいくらかかる?主な費用と計算方法を解説
近年、空き家を相続したものの、「税金は一体いくらかかるのだろう」「何から手をつければ良いか分からない」と悩む方が増えています。空き家を相続した場合、さまざまな税金が関わるうえ、納税や手続きの流れも複雑になりがちです。この記事では、空き家を相続した際に必要となる主な税金や、実際の計算方法、利用できる節税特例、さらに注意すべきポイントまで、分かりやすくご説明します。初めての方でも安心して読み進められる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
相続した空き家にかかる主な税金の種類
空き家を相続した際に負担する主な税金には、以下のようなものがあります。
| 税金の種類 | 概要 |
|---|---|
| 相続税 | 相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた課税遺産に対して課される税金です。 |
| 登録免許税 | 相続による不動産の名義変更(相続登記)の際、固定資産税評価額に対して0.4%の税率で課されます。 |
| 固定資産税・都市計画税 | 空き家の所有を継続すると、毎年1月1日時点の所有者に対し課税されます。都市計画区域内の土地・建物には都市計画税も加わります。 |
具体的には、相続税は遺産の総額が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超える場合に課税対象となります。この基礎控除によって、一定額までの遺産には税がかからない仕組みです 。
登録免許税は、不動産の所在地の市町村が発行する「固定資産税評価証明書」に記載された金額を課税標準とし、0.4%を乗じて算出します。端数処理として、評価額の1,000円未満は切り捨て、税額の100円未満も切り捨てます 。
固定資産税・都市計画税は、土地・建物の評価額に応じて毎年課される税金です。小規模住宅用地(200㎡以下)には軽減措置が適用されますが、特定空き家に指定されるとこの軽減がなくなり、税負担が約6倍になるおそれがあります 。
相続税の計算方法とシンプルな計算の流れ

空き家を相続された方がまず理解していただきたいのは、相続税の算出における基本の流れです。
| 手順 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 課税遺産総額の算出 | 「正味の遺産額」から「基礎控除額」を差し引く | 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数 |
| ② 評価額の算定 | 土地:路線価方式または倍率方式、建物:固定資産税評価額を使用 | 補正要素(形状・立地など)に注意が必要 |
| ③ 相続税額の計算 | 課税遺産総額を法定相続分で按分し、税率・控除額を適用 | 速算表を使って税率と控除額を確認します |
以下、手順を順に詳しくご説明いたします。
まず、「正味の遺産額」とは、土地や建物、預貯金などのプラスの財産から、借入金や葬式費用などの債務を差し引いた額です。それから、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)を引いて、課税遺産総額を求めます。法定相続人が3人なら、控除額は4,800万円になります 。
次に、土地の評価方法ですが、都市部など路線価がある土地では、路線価方式(路線価×補正率×面積)を用います。一方、路線価がない地域では倍率方式(固定資産税評価額×評価倍率)を使います。建物は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります 。
課税遺産総額が出たら、法定相続分に応じて相続人ごとの取得金額を計算し、それに速算表の税率と控除額を適用して相続税額を求めます。例:法定相続分に応ずる取得金額が3,000万円の場合、税率15%、控除額50万円です 。
このように、①課税遺産総額の算出 → ②土地・建物の評価方法 → ③法定相続分による按分 → ④税率・控除額による計算、という順序で進めていただくと、相続税額の概算をシンプルに導き出せます。正確な金額を知りたい場合は、ぜひ専門家にご相談されることをおすすめいたします。
相続した空き家を売却した際の税と節税特例

空き家を相続したあとの売却には、譲渡所得にかかる税率の違いや、大幅に節税できる特例があります。ここでは、まず税率の基本を説明し、つぎに特例の内容や適用要件、最後にシンプルな節税効果の概算をご紹介します。
まず、譲渡所得にかかる税率についてです。空き家を相続して売却する場合、所有期間が「譲渡した年の1月1日時点」で5年を超えていれば「長期譲渡所得」となり、税率は所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%で、合計約20.315%です。5年以下であれば「短期譲渡所得」となり、税率は所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%で、合計約39.63%になります。
次に、相続した空き家の売却に利用できる「相続空き家の特例」について見ていきます。この特例を使えば、譲渡所得から最大3000万円を控除できます。ただし、以下の要件が必要です:
| 要件 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築 | 旧耐震基準の家屋が対象 |
| 売却期限 | 相続開始後3年以内の年末まで | 令和9年12月31日まで適用延長 |
| 耐震措置 | 売主または買主が耐震リフォームか解体を実施 | 買主が譲渡後に行っても可(翌年2月15日まで) |
加えて、土地と建物を一緒に相続すること、売却額が1億円以下であること、区分所有建物(マンション等)ではないこと、相続開始直前に被相続人以外が住んでいなかったこと、第三者への売却であること、などの条件もあります。
この特例を活用すると、どれくらいたいへん有利になるのでしょうか。例えば、譲渡価格4000万円、取得費200万円、譲渡費用150万円とすると、譲渡所得は3650万円になります。これに特例の3000万円控除が適用されると、課税対象額は650万円となり、税率を20%として計算すると約130万円となります。一方、特例がなければ、課税対象となる3650万円に約20%をかけて約730万円の税額となり、節税額は約600万円にもなります。
このように、税率の違いや特例の活用が、空き家売却において大きな節税につながります。適用要件は複雑ですので、早めに専門家へ相談されると安心です。
空き家を相続した人が知っておきたい注意点と対策のポイント

空き家を相続した場合、知っておきたい重要な注意点と具体的な対策をご紹介します。
| 注意点/対策 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 住宅用地特例の喪失 | 空き家を放置し「特定空き家」に指定されると、住宅用地特例が外れ、固定資産税は最大で6倍に跳ね上がります | 固定資産税や都市計画税の大幅な増加リスク |
| 相続前の活用検討 | 同居・賃貸・売却など、相続発生前に空き家の活用方法を検討することで節税につながります | 「同居」は小規模宅地等の特例適用、「賃貸」は賃貸開始3年以上で特例適用可 |
| 専門家への早めの相談 | 税理士など専門家に早めに相談することで、特例の誤った適用を防ぎ、最適な選択ができます | 課税対象や納税時期の見通しが立ちやすくなります |
まず、住宅用地特例が適用されなくなると、空き家が「特定空き家」に指定される可能性があり、その結果、固定資産税・都市計画税の特例(6分の1/3分の1)が外れ、税負担が最大6倍になるケースがあります 。
次に、相続発生前の対策としては、(1)同居[生前に同居親族として居住し、小規模宅地等の特例による評価減を受けやすくする]、(2)賃貸[3年以上賃貸に出すことで特例適用の対象となる可能性]、(3)売却[生前のうちに売却して相続前に現金化し、譲渡所得の特例を活用]などが考えられます 。
とくに、税理士などの専門家に早めに相談することは、特例の適用可否や必要書類・期限などを整理でき、誤った申請によるトラブルを避ける上でも大きな利点があります 。
まとめ
空き家を相続した際には、さまざまな税金が関わり、それぞれの概要や計算方法をしっかり把握しておくことが大切です。相続税や登録免許税、固定資産税などは、条件によって負担額が大きく変わるため、正確な計算とタイミングの見極めが重要です。また、空き家の売却時には特例を利用することで大きな節税効果が期待できます。自身が置かれた状況を冷静に整理し、専門家への早めの相談によって、無理なく負担を減らす方法を見つけることが安心への第一歩となります。
