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自筆証書遺言と公正証書の違いは?選び方や特徴を比較して解説

相続

處        浩之

筆者 處 浩之

不動産キャリア23年

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遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」という主な種類がありますが、それぞれどのような違いがあるのかご存知でしょうか。家族にトラブルを残さず安心して財産を託すためには、ご自身に合った遺言書の方式を選ぶことが大切です。この記事では、自筆証書遺言と公正証書遺言の基本的な違いや特徴、選び方のポイントまでやさしく解説します。初めて遺言書作成を考えている方にもわかりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

自筆証書遺言と公正証書遺言の基本的な違い


自筆証書遺言とは、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する方式です。そのため、いつでも手軽に作成でき、コストがかからず、付言事項など個人的な思いも残しやすいというメリットがあります。一方で、方式に不備があると無効になりやすく、紛失や改ざんのリスク、さらには家庭裁判所での検認が必要となる点に注意が必要です。

公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述を文書化し、公証役場で作成される方式です。形式的な不備による無効リスクが低く、原本は公証役場に保管されるため紛失・偽造・破棄の心配がなく、検認も不要という安心感があります。ただし、公証役場でのやり取りや証人2名の立会い、手数料などの手間とコストが生じる点がデメリットです。

遺言書の作成を検討されている方にとって、自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを理解することは非常に重要です。どちらの方式が自身のニーズに合っているか、信頼性を重視するか、コストや手間の簡便さを重視するかで選び方が変わってくるためです。

以下に、両者の違いをわかりやすく表でまとめております。

方式メリット注意点
自筆証書遺言いつでも作成可能、費用不要、柔軟に修正・思いを伝えやすい方式不備で無効のリスク、家庭裁判所での検認が必要、紛失・改ざんのおそれ
公正証書遺言公証人作成で法的安心、原本安全に保管、検認不要手数料・証人2名・公証役場対応の手間がかかる

それぞれの方式の特徴(作成手間・費用・安全性)


遺言書の作成方式には、それぞれ特長があり、作成手間・費用・安全性という観点で選ぶことが重要です。

方式 作成手間 費用 安全性
自筆証書遺言 非常に簡単。手書きだけで作成可能 ほぼ無料。法務局保管制度利用で3,900円 紛失・変造・無効リスクあり。家庭裁判所で検認が必要
公正証書遺言 手続きや証人の用意が必要で手間がかかる 財産額に応じ数万円~十数万円。出張や専門家依頼でさらに上乗せ 形式チェック済、原本は公証役場で保管。検認不要で非常に安全

まず、自筆証書遺言は思いついたときにすぐに作成でき、費用もかからない点が最大のメリットです。ただし、全文を自筆で記す必要があり、形式に不備があると無効となるリスクがあるほか、紛失や変造、発見されない可能性もある点は注意が必要です。さらに、相続発生後に家庭裁判所による「検認」が必要になります(例:遺言書保管制度を利用する場合、申請料として3,900円が必要)。

一方、公正証書遺言は、公証役場や公証人が関与し、証人2人の立ち会いが必要で手間がかかります。また、財産額に応じた手数料が必要で、数万円から十数万円になる場合があります。さらに、公証人の出張や専門家依頼をすると費用も加算されます。

しかしながら、公正証書遺言は形式上の不備がなく、紛失・変造・偽造のリスクが低く、原本は公証役場で保管されます。また、家庭裁判所での検認が不要である点から、安全性と確実性は非常に高い方式です。

どちらを選ぶかは、費用・手軽さを重視したい方には自筆証書遺言、安心・安全を第一に考える方には公正証書遺言がおすすめです。それぞれのメリットとデメリットを理解して、自分に合った方式を選ぶことが重要です。

法務局保管制度とそのメリット・注意点


自筆証書遺言を法務局に保管する制度は、令和2年(2020年)7月10日に施行されました 。この「遺言書保管制度」を利用することで、自宅保管に伴う紛失・改ざん・未発見といったリスクを軽減し、検認を不要にするという大きなメリットがあります 。

制度利用の流れとしては、まず本人による自筆証書遺言の作成が必要です。用紙や余白、ページ番号・綴じ方などの様式要件が定められており、法務省が提供する様式に従うことが求められます 。その後、遺言者の住所地や本籍地、所有不動産所在地を管轄する法務局(遺言書保管所)に予約のうえ本人が出向き、申請書や本人確認書類、住民票など必要書類を提出して保管申請を行います 。

項目内容金額
保管申請遺言書を法務局に預ける3,900円
閲覧請求(原本)遺言者または相続人等が原本を確認1,700円
証明書交付(情報証明書)遺言内容の証明用1,400円

保管にかかる手数料は1件あたり3,900円(収入印紙)で、原本や画像データによる閲覧・証明書の交付にも別途費用がかかります 。また、申請の撤回や登録内容変更については手数料不要で手続きが可能です 。

ただし注意点もあります。法務局ではあくまでも形式要件に関する外形的なチェックのみで、遺言内容が法的に有効かどうかは確認されません。そのため、内容の適法性や文言の適切さを重視する場合は、専門家(弁護士や司法書士等)による事前確認をおすすめします 。また、手続きは必ず遺言者本人が法務局に出向いて行う必要があり、代理人や郵送での対応は認められていません 。

選び方の指針(あなたにとって適した方式は?)


次の表は、自筆証書遺言と公正証書遺言の選び方を「重視するポイント」に基づいて整理したものです。

重視するポイント 自筆証書遺言(法務局保管制度利用) 公正証書遺言
費用の負担 比較的低め(保管手数料:約3,900円) 公証役場の手数料が必要で、財産額に応じて数万円以上かかる
安心・確実な形式性 形式チェックはされるが内容の法的適切さは確認されないため、事前に専門家への相談が望ましい 公証人が関与するため、形式や効力の確実性が高く、無効リスクが低い
紛失・改ざんリスク 法務局が原本と画像を保管するので、紛失や改ざんリスクが低い 原本が公証役場に保管され、偽造・隠匿の可能性はほぼない

この表を参考に、あなたご自身の状況や気になる条件に応じ、次のように選択の指針を整理できます。

・費用を抑えたい、または気軽に書き直ししながら作成したい場合は、「自筆証書遺言(法務局保管制度)」が適しています。ただし、形式不備に注意し、内容について不安がある場合は専門家の相談が重要です。

・安心・確実な効力を重視する場合や、家庭裁判所の検認手続きや争いを避けたい場合は、「公正証書遺言」が適しています。手間や費用はかかりますが、法律の専門家(公証人)によって作成される安心感があります。

いずれの方式を選ぶ場合でも、作成後の安心につなげるためには、まずは専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)への相談を第一歩としておすすめします。内容の確認や不備の防止、最適な手続きの進め方について、的確なアドバイスを受けることで、一歩前に進めることができます。

まとめ

自筆証書遺言と公正証書遺言は、それぞれ作成の手軽さや費用、法的な安全性に特徴があります。自分の状況やニーズに合わせて、どちらの方式が適しているかを考えることが大切です。法務局の保管制度を活用すれば、自筆証書遺言でも安全性を高めることができます。遺言書の作成を検討する際は、ご家族の安心やご自身の希望をもとに、納得できる方法を選びましょう。迷ったときは、気軽に専門家へ相談することも有効です。

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